<暖房感覚の個人差は思った以上>

私が床暖房の仕事をはじめた頃は、お客様はほとんどが個人住宅で、大型案件はごくわずかでした。
完成後にその住宅を訪問して、お客様の感覚(暖房温度)は多様なことに驚かされました。
S様は中堅企業の社長様で、ふだんは奥様が応対してくださいました。
完成後、床暖房をご採用いただいた居室を見させていただきますと、寒暖計が目立つ柱にかけてあり、”15℃”を指していました。
かけだしの頃は、床暖房=室温18℃・床温30℃ と 「公式」 だけ 頭にありましたので、「え〜!、こんな温度で寒くないんですか?」と 思わず尋ねますと、奥様は「いいえ、いろいろ試したけど、この状態が快適なんです」とのことです。
無理に節約をされているような様子も全くありません。 (ゴメンナサイ)
K様はやはり経営者様でした。新築の際、「私は寒がりなんです。」と伺っていたので、
床暖房(面積)=70%程度(〜それ以上) の「公式」を超えて、家具の置き場以外は、ほぼ全面に 床暖房(根太間タイプ)を敷き詰めました。
完成後しばらくして訪問しますと、K様が広いリビングに案内してくださいました。
その日、私は仕事内容に合わせてスーツを着ていたのですが、部屋に入ったとたん、ワッと汗が出てくるのがわかりました。
『あついな、、でも暖まらないよりはよかったな』と思っていたところへ、K様が 「少し寒いんだ、もう少し何とかならないか?」と言われます。
コントローラの設定もほとんど最高に近い状態でした。 私の顔はカーッと紅潮していたと思います。
「帰って良く検討してみます」と、蚊のなくような返答をして帰社しました。
帰ってから図面や工事写真を見てみますと、床暖房が入っていない所がありました。
根太間タイプは、巾が24.0cm(建築では240mmという言い方が一般的です)の既製品なので、建築の都合上
根太間がやや狭く、ヒーターが納まらない所があったのです。
そこで自家製のフロアヒーターを作製して(内容は企業ヒミツです)、ヒーターの入っていない所に追加をしました。
K様もとても喜んでくださいました。
暖房感覚の個人差は思った以上に大きいものだと、つくづく感じさせられたものです。
お客様のご要望に応じて、床暖房を設計するのも、大切な仕事です。
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